中国語学習者にとって、否定形の表現は非常に重要です。否定形を正しく使うことは、コミュニケーションスキルを向上させる鍵となります。中国語には主に「不(bù)」と「没(méi)」という二つの否定形がありますが、これらには異なる文法的文脈と使用法があります。

この記事では、「不」と「没」の違いについて解説し、それぞれの文法的文脈を説明します。

「不 bù」を使わないといけない文法

1. 動詞の否定形

「不」は一般的に動詞の否定形として使用されます。例えば:

  • 我不吃肉。(Wǒ bù chī ròu.) – 私は肉を食べません。
  • 他不懂中文。(Tā bù dǒng zhōngwén.) – 彼は中国語がわかりません。

「不」は動詞の前に置かれ、その動作や状態を否定します。これは最も基本的な否定形です。

2. 形容詞と副詞の否定形

形容詞や副詞を否定する際も「不」が使用されます。例えば:

  • 这个电影不好看。(Zhè ge diànyǐng bù hǎokàn.) – この映画は面白くない。
  • 她不常去健身房。(Tā bù cháng qù jiànshēnfáng.) – 彼女はジムにあまり行きません。

「不」は形容詞や副詞の前に置かれ、その特性や状態を否定します。

3. 能願動詞の否定形

「会 huì,能 néng,可以 kěyǐ」などの能願動詞(助動詞)や「喜欢 xǐhuan,要 yào」など感情や本人の意思を表す語の否定形は「不」を使って否定します。

  • 她不会游泳。(Tā bù huì yóuyǒng.) – 彼女は泳げません。
  • 你不可以在这里吸烟。(Nǐ bù kěyǐ zài zhèlǐ xīyān.) – ここでたばこを吸ってはいけません。
  • 他不喜欢冰淇淋。(Tā bù xǐhuān bīngqílín.) – 彼はアイスクリームが好きではありません。

「没 méi」を使わないといけない文法

1. 単純な事実の否定

「没」は事実を否定するために使用されます。例えば:

  • 我昨天没吃饭。(Wǒ zuótiān méi chīfàn.) – 私は昨日食事をとりませんでした。
  • 他还没睡觉。(Tā háiméi shuìjiào) – 彼はまだ寝ていません。

よく「不」は本人の意思で「~しない」ことを表すことに対して、「没」は出来事や経験を否定し、その事実が存在しないことを示します。

2. 「有 yǒu」など特定の動詞

動詞「有」は「ある、いる」を表します。否定形は「没」を使わなければいけません。

  • 我没时间。(Wǒ méi shíjiān.) – 私は時間がありません。
  • 我没有兄弟。(Wǒ méiyǒu xiōngdì) – 私には兄弟がいません。

3. アスペクト助詞を伴う動詞の否定

アスペクト助詞「了 le,过 guo,着 zhe」は動詞の後ろに位置して、動作の完了や経験や持続していることを表します。

  • 我们没吃晚饭。 (Wǒmen méi chī wǎnfàn.) – 私たちは夕食を食べなかった。
  • 他没去过北京。 (Tā méi qùguò běijīng.) – 彼は北京に行ったことがありません。

アスペクト助詞と「没」の組み合わせは、特定の行動や経験が完了しなかったことを表現します。アスペクト助詞「了,着」は基本的に否定形の時はつきません。

4. 結果補語の否定

「看完 kànwán,买到 mǎidào,听到 tīngdào」など結果補語の否定形には基本的に「没」を使います。

  • 她没看完这本书。 (Tā méi kàn wán zhè běn shū.) – 彼女はこの本を読み終えなかった。
  • 我没学会游泳。 (Wǒ méi xuéhuì yóuyǒng.) – 私は泳ぎ方をマスターしていません。

まとめ

「不」と「没」は中国語の否定形で、それぞれ異なる文法的文脈で使用されます。

基本的に「不」は動詞、形容詞、副詞の否定に使用され、一般的な否定形として広く使われます。一方、「没」は過去の事実や過去の行動の否定に使用されたり、特定の文法のときに適用されたりします。

これらの違いを理解し適切に使用することで、より正確な中国語の表現ができるようになります。